家の中でも、お父さんやお母さん相手に相撲、おしくらべ、綱引き、ボール投げ、お馬パカパカなど、いくらでも運動させられますし、又そういうことが親子のコミュニケーションにも役立つことでしょう。階段を上ったり、椅子にのぼったり、おりたりなども、安全にさえ気をつけてやれば、大変よい運動にもなるし、又危険について教え込むのにもよい機会になります。
幼児の鍛錬に場所はいらない。大切なのは親の意志だけ。
又、虫歯を早く見つけて、早く治療することが大切なことは言うまでもありません。
食べたらすぐに歯みがきさせよう!
水泳もランニングも、共に全身を使う基本的な運動ですから結構ですが、問題は学習のさせ方と程度です。その点、水泳教室に入れて専門家の指導を受ける分は心配ないと思いますが、ランニングもできれば良い指導者について、無理のない走り方のコーチをしてもらうのが望ましいと思います。筋力を早くつけ、他の子よりも速く泳げたり、速く走れたりを目標としたり、子どもが疲れても頑張らせて長い距離をやらせたりすると反って逆効果が出てくる恐れがあります。だんだんに慣らせて、無理のない範囲で長く続けさせることがコツです。
幼児に運動させるのに大切な原則があります。
1 その子の発達段階に無理のないものであること
2 ゆっくり、だんだんと程度をたかめてゆくこと
3 長くつづけて習慣化すること
4 子どもが興味を持つことです。
幼児は骨や関節、筋肉などがまだ弱いので、やり方を間違うといろいろの悪い影響が出てきます。全身の運動をさせることが特に大切で、足とか手とかの特定の能力を上げようとしても効果があがらないだけでなく、かえって悪い結果を招きます。また、疲労した状態を励まして運動をつづけさせることは、幼児では決してやってはいけないことです。この年代では、いろいろの動作をなめらかに、うまくやらせるという方向の訓練が効果があがり、筋肉を強めようとしても効果はあがりません。筋肉強化のトレーニングを始めるのは、小学校の高学年からです。
そこで、ご質問の幼児を走らせることですが、距離と速さが問題です。時々コースを変えたり、遊びの要素を多くして、何か楽しみを加えながら、あまり長くない距離を走らせましょう。走ったり、歩いたりが良いので、走りつづけることを強要してはいけません。舗装した固い道を走るときは底の厚い靴を選ぶことが大切ですし、足が高くあがらないので、土の道ではよくつまづいて転ぶので注意が必要です。
かぜにかからぬ努力より、かぜに負けない努力を!
親子で頑張って習慣化しよう。
子どもの応急処置の一般的な原則を列挙します。
1 何より迅速にとりかかること。医師や救急車への連絡に時間をとってはいけない。
2 まず呼吸の確保。口から口への人工呼吸が最もよい。首を強く後ろへ曲げること、鼻をつまむこと、そしてできるだけ強く自分の息を口内に吹き込むことを反復する。
3 心臓が停まっていたら、前胸部真中の骨の下端をとんとんと2、3回強く叩いてみる。
4 出血は傷口を押して止めるのが原則。心臓に近い部位をしばって止めるのは最後の手段。
5 傷口はできるだけきれいに洗うことで十分。いろいろの薬はつけない方がよい。
6 火傷は痛みが取れるまで冷水で冷やす。範囲の広い火傷はすぐ病院へ。
7 骨折や捻挫はできるだけ痛みの少ない姿勢で、動かぬように固定して病院へ。
8 眼・耳などの異物は素人がとろうとしない。
応急処置は被害を出来るだけくいとめることで、治すことではない。
本人の性格とか、失敗する時間などで取り扱い方が決まりますが、一番大切なことは早く治そうと親子ともあせらないことで、本人の悩みを出来るだけ深刻なものにしないこと、夜度々おこしたりしないこと。ある程度の精神安定剤を使うことなどで根気よくねばっていれば、大人まで持ち越すことはめったにないのです。どちらにしても長期戦で、あせりが最大の敵だと思って下さい。
早く治そうとあせるほど、夜尿は治らない。
1、薄着、乾布まさつ、冷水まさつで皮膚を強くしましょう。
2、体操、軽いかけ足から始めて、余り強くなければ多くの運動が出来ます。水泳は喘息の子が得意な種目ですし、喘息にも良い影響を与えます。
3、運動にとりかかる前に充分なウォーミングアップを行うことが大切です。運動によって、喘息がひきおこされることがありますが、そのほとんどは開始5分以内で、ウォーミングアップ不充分のときです。
てんかんは過労にならない限り運動は止める必要のないものですが、発作が充分コントロール出来ていない子は、発作時の危険防止のため水泳や高いところに上がるのを禁止します。深呼吸を何回も繰り返す運動は時として発作を誘発することがあるので、主治医からの指示をもらっておくことが必要です。
運動は喘息の治療法の1つです。
初潮は最もよい性教育のチャンス。
1、毎日の生活を規律的にさせる。
2、殊に夜の就眠時間を早め、睡眠が充分とれるようにする(家族をあげて協力)。
3、入浴をきちんとさせる。
4、戸外の運動をさせる。
5、3度の食事をきちんととらせ、偏食をなくする。
といったことが大事だと思います。
早寝と運動であくび追放。
ところが、この2つの神経のバランスがくずれて、どちらか一方が強く働きすぎたり、両方が不安定であったりする状態になることがあります。これを自律神経失調症というのです。ODは、立つことによって、血液の循環をコントロールする自律神経が失調をおこして、血液が下の方に集まり、頭の中や心臓にまわる血液が少なくなるため、脳貧血をおこして倒れるのです。
ODの治療の主なものは、自律神経鍛錬法と薬剤療法です。自律神経を鍛えるというのは、自律神経の反応を素早くし、その反射が正常に行われるように訓練するのが目的で、具体的な方法としては、乾布摩擦や入浴後の冷水摩擦、なわとび、ランニングなどがすすめられています。やりやすい方法から始めて、軽くても毎日つづけてやることが大切です。その他、日常の生活を規則正しくし、3度の食事をきちんととらせ、早く寝かせることが特に大切です。それには、本人だけでなく家庭全体が協力してやることが必要です。症状にひどいものには薬を1、2カ月使うと、ぐっと良くなりますが、薬だけで完全に治すことはできません。また、家庭での過保護的な環境を改善し、本人に自信を持たせることも忘れてはいけないことです。
@かぜ
何といっても1番多い病気です。もとはかぜというと、寝冷えとか湯ざめとかをすぐ考えたものですが、そういうことは誘因になるかも分かりませんが、本当の原因になることはむしろ少ないのです。かぜの90%以上は感染ことにウィルスによるものです。現在たくさんの種類のウィルスが見つかっていますが、それぞれの性質も分かってきていて、近い将来にはかぜという病気はなくなってしまうかも分かりません。子どもは咳、鼻汁というようないわゆるかぜ症状だけでなく、全身で反応するのが特徴で、食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器の症状がよくみられます。
ウィルスに効くくすりはまだありません。安静と栄養と看護に心がけることが大切です。症状が重そうなら、熱を下げたり、咳を楽にさせたり、さらには肺炎などの合併症を防ぐために抗生物質を使うこともあります。
A扁桃腺
これも幼児には多い病気です。幼児期から学童期にかけて、扁桃は成人よりも発達していますので、扁桃が大きいのは当たり前みたいなもので、ただ大きいからというだけの理由で手術を考える必要はありません。
もし、気道を狭めるほど肥大した場合は、手術も考えなければなりません。
B喘息様気管支炎
喉をゼロゼロならすのが喘息に似ているので、よく小児喘息とか喘息性気管支炎とか言われて心配されますが、喘息とは本来は別のものです。そのほとんどは成長につれて自然に治りますので、心配ありません。熱もなく、機嫌も良ければ放っておいてもよい位のもので、本当の喘息に使う強い薬を使うのは反って悪い結果を招きます。
C反復性臍疝痛
3〜5歳の子に多く、詳しく調べると、半数近い子が程度の差はあっても、この種の腹痛を訴えています。食欲も便も機嫌も変わらず、突然の腹痛(それも大部分が臍の周囲)を訴え、突然に止んでしまい、それを繰り返します。これは自律神経のアンバランスのための腸管のけいれんのためと言われ、神経系の発達の途上での1つの半生理的な現象であると考えられていますので、大部分のものはそのまま放っておいて心配のないもので、その時は気をかえてやるようにしむけると、いつとはなしに忘れています。
D自家中毒症
急にぐったりして吐きつづけたり、お腹を痛がるので、消化器の病気と考えている人があるようですが、本質は神経系の病気又は脂肪の代謝障碍であると考えられます。急激に発病し、治るのも急に元気になるのが特徴です。治療としてはブドウ糖の注射や輸血が大切で、劇的によくなります。食事は良くなりかけたら、どんどん進めて結構です。
E発熱
時間外に医療をうける過半数は発熱です。しかし、発熱について多くのお母さん方は心配しすぎています。甚だしい高熱でない限り、発熱の高さは病気の重大なことを示すものではありません。むしろ、熱以外の他の症状がどうかということが問題です。
発熱に対する基本的な考え方としては、次の5つがあげられます。
(1)発熱というのは、1つの生体の防御反応である。
(2)熱というのはひとつの症状であり、病気があるから熱が出るので、熱を下げることが病気を治すことではない。
(3)発熱の高さと病状の重さとは平行しない。
(4)熱を急いで下げなければならない場合はむしろ少ない。
(5)熱の経過は診断にとって大切なポイントになるので注意して記録しておく。
けいれんを起こす子どもなど小数の子ども以外は、熱についてそれ程あわてる必要はありません。例えば、高熱でも顔を真っ赤にして動きまわり、じっと寝ていないというのは心配ありません。逆にあまり熱は高くなくても、青白い顔をしたり、吐いたりしているのは気をつける必要があります。解熱剤の座薬がよく使われていますが、座薬は絶対安全なものではないし、色々と種類があり正しい使い方の知識が必要です。頭を冷やしたり、浣腸したりなどをして、熱を下げることには限界がありますし、そうして熱を下げる意味はあまりありません。
むしろ、他の症状や十分な水分の補給に気をつけて下さい。
Fけいれん
子どものけいれんはそれ程珍しいものでもなく、危険なものでもありません。その大部分は静かに見守るだけで快復します。その時の応急処置は、衣類を楽にし、嘔吐、窒息を避けるような体位をとることなどが大切で、騒いで叩いたり、手足を押さえつけたりなどは何の意味もありません。昔はひきつけるとすぐ口内にわりばしを入れたりしましたが、今はむしろしない方がよいとされています。
ただ、子どものひきつけは大きくなると治るからと放置される傾向がありましたが、小数ながらその中にてんかんの子が混じっていることがあります。てんかんは最近大変増えてきた病気の1つで、昔のてんかんに対する考え方に誤りの多いことが分かってきました。早く発見して、十分に治療をすれば治る率が高いので、ひきつけをくり返す子や、あまり熱が高くないのにひきつける子、ひきつけの時間の長い子などは脳波の検査を受けることが必要です。
G嘔吐と下痢
共に子どもには出やすい症状であり、必ずしも腹が悪くなくてもこの症状がみられます。例えば扁桃腺や中耳炎でも時々痛かったり、吐いたりする子は多くいます。子どもは脱水症状がおこり易いので、殊に嘔吐の時は注意する必要があります。下痢は最近のはウイルス性のものが多いようです。便をみるときは色や固さより匂いに注意することが大切です。
嘔吐にしても下痢にしても子どもの一般状態、ことに機嫌、食欲、睡眠、体重の増加などが順調であれば、あまり神経質にならないことです。
H夜尿
3才児で夜尿を心配している親が多くいますが、尿の排泄を充分コントロールするのは4歳にならなければ出来ません。幼稚園で40%、小学校に入っても10%は失敗している子がいます。あまり神経質な取り扱いをして、夜間に何度もおこしたりするのは反って良くありません。
I爪かみ、指しゃぶり
共に手を口に持ってゆくので混同されていますが、本質的にはかなり違っています。
爪かみは欲求不満を解決する1つの方法としてとられており、その子の情緒の不安定を物語っています。指しゃぶりは子どもの失業状態であって、遊びに就職させれば消失するもので、余り気にする必要はありません。心理的な原因からおこる子どもの身体症状や異常行動は沢山ありますが、いづれも今出ている症状をなくすることよりも、なぜこの子はこんなことをするのだろうと考えて、原因を追求してやることの方が大切です。
すべての病気に共通して言えることは、1、栄養、2、休息、3、平素の鍛錬、4、精神的なゆとりや安定に、心がけることが大切です。