1)栄養はすべての栄養素が大切で、何かを充分とれば良いというものではなく、色んな栄養素をバランスよくとるということが大切です。できるだけ、種類を豊富に与えましょう。
2)1回に入る量が少ないので、1日4回の食事が必要で、食事時間をきちんと定めて、朝や昼の食事に重点をおきましょう。
3)蛋白質の良質のもの、例えば牛乳2本、卵1個、豆腐や魚など毎日与えたいものです。
4)ご飯の量にあまりとらわれぬこと。おかずを色々食べることの方が大事です。
5)調理の工夫で脂肪も充分とらせましょう。
6)カルシウムを忘れぬよう。それがベストです。
7)楽しい雰囲気で食べさせるのが何より大切。
バランスのとれた食事を皆で楽しくとりましょう。
次にごはんを食べないことを気にしすぎていませんか。幼児にはむしろおかずの方が問題です。ごはん(糖質)の代わりはおやつやのみものなど色々なもので充分とれていることが多いのです。食べないので子どもを責めるより、親の方が反省することの方が多いのです。お家の食事の雰囲気は楽しいものですか。お母さんはあれこれ食べるものに口出ししたり、強制したりしてませんか。お母さんが食べさせようとやっきになるだけ、子どもは食べなくなってしまうのですよ。
楽しい雰囲気でのびのび食べさせよう。
牛乳、ヨーグルト(市販の甘い乳酸飲料ではない)、果物、甘味の強くない菓子などが良いものです。
おやつは幼児には必要なものです。やり方を考えましょう。
1、家の中に偏食のお手本がいませんか。お父さんや兄ちゃん、時にはお母さん本人であったりします。好き嫌いがまかり通る人がいて、子どもばかりは全部食べなくてはならぬという理屈は通りません。
2、献立が単調ではありませんか。同じ材料でも調理法が変わると食べることはよくあります。お母さんの腕の見せどころです。
3、本当に嫌いでしょうか。この年頃では、空腹が少し満たされると、遊びに気を奪われて、すぐ食卓を立ったりします。たまたま同じものを食べ残すのが続くと、お母さんが勝手に嫌いときめてしまっていることがあります。
4、嫌いなものを食べることを強制してはいませんか。子どもが食卓につくと、「先にこれを食べなさい」とか「これを食べないと立たせませんよ」とか、子どもが嫌がりもしてないうちから、お母さんが言っていませんか。
もしこの4つの反省の1つでも思い当たるところがあったら、ぜひ考えなおしてやってください。偏食を治そうとして、やっきになって子どもを攻めたてても、効果がないばかりでなく、かえって悪くしてしまうことが多いのです。
大切なことは、お母さんが偏食について固い考えを持たないことです。本当の偏食は確かに栄養上問題がありますが、偏食で連れてこられる子で、身体に欠陥が現れていることは、よっぽど極端な場合でないとありません。偏食といっても、単なる好き嫌いの問題であることが大部分です。魚は食べなくても、肉や卵は食べたり、野菜は嫌でも果物は好きだったりすれば、1応栄養的な欠陥は心配ない程度に補われていると考えて良いでしょう。放っておいても、子どもが自分の成長に必要な栄養素を選び分ける能力を持っているという有名な実験があります。もっと大らかに考えて、楽しい食事にしてやれば、子どもの食欲が出て、いろいろと食べるようになると思います。
市販のジュース類は、何といっても糖分が多すぎることが欠点です。いろいろと工夫をこらしてあっても、結局は砂糖水に色や香りをつけたものだと思ってもよいもので、しかも、その糖分が大へん多く、瓶1本の中に十から30グラムも入っています。ケーキ1個の砂糖が十から20グラムですから、もっと多いわけです。名前にだまされない注意が大切で、百パーセント天然果汁といっても、糖分はちゃんと加えられていますし、ミルクコーヒーといっても、コーヒーもミルクもごく少量しか入っていない、実質的にはやはり砂糖水です。
しかし、子どもの大好きなものですから、全然与えないのはかわいそうです。よく内容を承知した上で、うまく利用してやることが大切です。それには買ったものをそのまま与えず、インスタントラーメンに卵や肉や野菜を加え、スープの量を半分に減らせば、その栄養的な欠点はずっと補えます。それにサラダや果物を添えてやれば、ずっと良くなります。
ジュースは、与える時期と量を考えてやることが大切です。運動の後などのカロリーの補給には良いのですが、食前に与えると食欲をなくします。また、いつも、どの子にも瓶1本全部を与える必要はありません。おやつにお菓子を食べさせたうえに、ジュースをのませるのは大間違いです。飲ませた後では、歯みがきや、ぶくぶくうがいで、むし歯の予防をすることも忘れないようにしてください。
科学技術庁の調査によると、私たちが毎日食べる食品の中には30から50種類もの食品添加物が入っているそうです。例えば和朝食では、ごはん(防虫剤)みそ汁(漂白剤・保存料)つくだ煮(旨味料・保存料・着色料・糊料)しょうゆ(保存料)たくあん(人工甘味料・着色料・保存料)と入っています。パン食にすると、もっと多くなってしまいます。勿論、国は基準を設けて、無害なものしか認めないという姿勢をとっています。しかし、1つ1つは害が少なくても、これ程たくさんのものが子どもの身体に入ってくることは望ましいことではありません。一例をあげますと、最近「じんましん」にかかる子が増えてきましたが、その原因が保存料(防腐剤)や着色料であるケースがわかってきました。たくあんで「じんましん」を出すとは夢にも思わなかったことです。そんなことがわかっても、今の食生活では、これらの食品添加物から逃れることは、まず不可能であることが大きな問題です。
対策としては、まず第1に、同じ物ばかり食べないで、食品の種類を増やし、危険の分散をはかることで、少なくとも1日20種類以上の食品を食べることが大切です。これは危険を避けるという意味だけでなく、栄養の面からも良いことです。
次に、インスタントラーメンやソーセージなどの加工食品をなるべくとらないことです。加工食品はその性質上、どうしても添加物を多く含んでいます。お母さんは宣伝に迷わされず、自分の知識と方針に従って、食品を選んでいただきたいと思います。ここで注意しなければいけないのは、いわゆる無添加食品です。その中には、カビの生えるものなど、古くなると添加物よりずっと恐ろしいものがあります。無添加食品を使う場合は、早くその日のうちに食べるとか、火を通すとか、それに合ったとり扱いをきちんと守らないと、かえって危ないことがあるということを、よく知っていてほしいと思います。
管理が必要な肥満ということになれば、肥満がなぜいけないかということを、本人や両親がよく理解することが1番大切です。もとは、肥満児が成人して肥満成人となり、高血圧、動脈硬化症、糖尿病、肝硬変など、いろいろの成人病になり易くなるということが強調されたのですが、今では、成人してからではなく、現在もうすでに、それらの病気がだんだんと進み始めている、と考えなければならないと言われています。
治療としては、食事療法と運動の2つが必要で、どちらかだけでは成功しません。食事療法には、@発育を妨げないこと A体重を無理にへそうとせず、ふえないことを目標にする B学校生活を妨げないこと C家庭の食生活を混乱させないこと、という大事な原則があります。実際的には、年齢や今までの食事量を考えて、あまり無理のいかないところから始めます。栄養素の中では等質(ごはん・パン・めん類・ジュース・菓子)の制限が1番大切で、たんぱく質は良質のものを積極的にとらせることが必要です。
運動は全身運動で、あまりきつくなく、長く続けられるものを選びます。日常生活を規則正しくし、ふとんを自分であげさせ、家事の手伝いをさせることなどがすすめられます。
効果があがるかどうかは、肥満の害の理解と治そうとする意欲にかかっています。辛抱が最も大切ですが、家族の協力によって大変違ってきます。
成長ざかりのじきですから、3回の食事だけでは足りないのは無理もないことです。まして、3回の食事をゆっくり充分に食べない子が多いので、尚夜食を食べる子が多いようです。単に栄養の点からだけ言えば、不足する栄養分を補うのですから、夜食も結構ということになります。しかし、十時に腹の満足するまでの夜食をとって、翌朝果たして空腹になるでしょうか。夜食の時間をもっと早くすることがまず必要ですし、夜食の内容を軽くすることが大切です。インスタントラーメンなどを勝手に作って食べさせるのでは駄目です。主食も夜食も時間的にもきちんと食べさせましょう。一日中腹がすけば何でも食べる、ダラダラした食生活が1番いけないのです。勉強するのに腹が空いては可哀想というお母さんもいますが、腹がはっては勉強の能率は反って下がってしまうことを知っていて下さい。
夜食は早めに、軽いものを。