A 赤ちゃんにも個性がある
肥った赤ちゃん、やせ型の赤ちゃん、よく眠る子と、神経質で眠りの浅い子…赤ちゃんもそれなりにさまざまの個性をもっています。育児書に示される発育はあくまでも平均です。そんな平均的なことや、よその子にとらわれず、お子さんの個性をみつめて独特の育児の道をまよわずに歩みましょう。
B 実行できる育児プランを
お母さんがほんとに実行できるプランを、赤ちゃんの個性に応じて立てて下さい。育児書の通りにきちんとやれる人はどこにもいません。できもしない理想的なプランをたてて、いらいら悩むのはナンセンスです。どんなにやったらよいか、原則を理解したらあとは自分でできる方法を考えましょう。
C 育児に自信を持ちましょう 赤ちゃんは弱いもの、注意してやらねばならぬものですが、はれものでも扱うように、はらはら、びくびく育てるのは大変いけないことです。基礎的な知識を頭に入れたら、もう後は自信を持って育ててゆきましょう。それが子どもの自然にのびる力を一ぱいにのばせる原動力となるでしょう。
お腹の中で40週も育てて来たのだし、生まれてからも、おむつを変えてやるのも、お乳をのますのも私がしていたから、母子のきずななど今更問題にするのはおかしいといわれるかも知れません。ところが、多くの動物の観察や実験で、親子のきずなというのは、そんなことだけでは解決できないものであることが分かってきました。
もちろん、人間と動物では全く同じに話をすすめるわけにはまいりませんが、人間にもやはり、アタッチメントの形成、確立ということが大切で、成長しての人間形成にも大きな影響を与えるものであり、その形成の期間は早くから始まり、かなり長期にわたる、その道筋は複雑で、多くの因子を含んでいることが分かってきています。アタッチメントがきちんと形成されることによって、子どもは母親との間に信頼と自信を持つことができるようになり、そこで初めて情緒の安定がみられるのだといわれているのです。
そして、アタッチメントを形成する因子として、1)スキンシップ・・・・生まれてすぐからの母と子の肉体的な接触、胸もとに抱いての哺乳、目と目のみつめ合い。2)相互作用・・・・母があやして赤ちゃんがにっこり笑う、その笑い顔につられて母が笑って、楽しい声を出す。その声をきいて赤ちゃんは身をふるわし声をたてて笑う。3)その他・・・・赤ちゃんの要求に対する母の素早い対応などが大切なものとして挙げられています。
第2の赤ちゃんの生活リズムの尊重は、説明するまでもないと思います。赤ちゃんは自分の生活リズムにのって生活しています。大人の勝手な都合で、リズムを変えられては泣きたくなるのは当然でしょう。
お勤めに出て、早くから赤ちゃんを保育所や、他の方に頼むおかあさんがふえてきますと、今までは特に考えなくても自然にできていたこの2つのことが心配になります。忙しさにかまけて、赤ちゃんに触ってやったり、あやしてやったりする時間まで無くなっているのではないでしょうか。
といって、アタッチメントだと騒ぎ立てて、大人の勝手で、赤ちゃんのリズムをこわしてしまうのも困るのです。お勤めに出なければならないお母さん、もう一度赤ちゃんとあなた自身を考え直してみて下さい。しかし、これは何も特別に難しい問題ではありません。あなたがこういうことを考えてくださり、ちょっと努力をしてくださるだけで、もうほとんど解決できていることなのです。
1つは脳性麻痺その他のはっきりした脳神経系統の異常を持った子ども達です。第2は微細脳機能障害症候群など、多少とも正常児とは違った面を持って発育してゆく子ども達です。第3は、これが大部分ですが、全く普通の子どもと変わらない成長を示す子ども達です。現在の進んだ小児神経学的な観察法で、1や2はかなり早くから見つけるか、少なくとも疑いをおいてみることができます。そして、それぞれ対処の仕方があるのですから、小児科医のきちんとした診療を受けることが、まず第1に必要なことだといえます。
1や2の疑いなしとされる場合がほとんどですが、その場合は、お母さんの考え方が大切だと思います。もとは、神経質などという性質は遺伝で決まると考えていました。「お母さんに似て神経質だ」とか「兄ちゃんと違って、この子は生まれつき神経質で」とかよくいわれたものです。次に、遺伝だけではなく、環境が大変関係していることが考えられ、「あんな家庭では赤ちゃんが神経質になるのも無理はない」などといわれました。現在では、子どものこういう性質は、母(保育者)と子の相互作用によるものだと考えれています。親が神経質ですと、子どもは神経質な人になる素質を持って生まれてきます。
しかし、それだけではその赤ちゃんは神経質になるとは限りません。例えばその赤ちゃんが何かの理由ではげしく泣いたり、眠らなかったりします。それは、どの赤ちゃんだっておこり得ることです。ところが、神経質な親はそれをみて慌て、騒ぎ、神経質な対応をします。そんな対応が重なると、赤ちゃん自身もだんだんと過敏な反応を示してくるようになります。すると、親は尚一層心配して神経質になる。こうしてお互い悪いほうに進んでしまい、神経質な赤ちゃんができあがってしまうというわけです。どこかで、この悪い連鎖をたち切る必要があるのですが、これを赤ちゃんに求めることはできない相談ですから、親のほうでたち切る努力をしなくてはなりません。決してその赤ちゃんだけが、そんなに泣くのではなくて、赤ちゃんというものは、訳も分からぬ泣き方をしたり、びっくりしたりするものです。そんな赤ちゃんだって、いつもびくびくして、泣いてばかりではないでしょう。ゆっくり、ぐっすり眠っているときもあるし、少々の物音がしても平気なことがある筈です。
生まれつき神経質などという赤ちゃんは無いのです。育て方で、神経質に仕上げてしまうのです。自信を持って、「あんたがいくらぐずぐずいったって、お母さんはいつまでも相手はできませんよ。気にいるだけ泣いたら、お休みなさい。」と思い切って放してみることです。親のほうで、この悪循環をたち切る努力をする、それが神経質な赤ちゃんへの親の対応のすべてだと思います。
もちろん皮膚の敏感さは、赤ちゃんによって生まれつき違っていて、ちょっとのことですぐまけてしまう子もいます。家を出るときには、こんなではなかったのです、というお母さんの言葉は本当でしょう。しかし、それはそれで、皮膚の強さの1つのバロメーターになりますし、ちゃんと早目早目におむつをかえ、診察のときには薄くパウダーなどをふってくるお母さんをみると、頭にリボンをつけてくるお母さんなどとは、一味違った育児の知恵を感じたものでした。
赤ちゃんのお尻をきれいに保つために大切なことは、@お尻を清潔にすること、つまりうんこやおしっこで汚れたままにしないこと。Aお尻を乾燥させること。B傷をつけないこと、です。
@のためには、(イ)大小便を早く察知して、おむつ交換をこまめにしてやること。1回1回をきちんとふくこと。(ロ)大小便がお尻にべったりくっつかない工夫・・・・吸湿性の良い、清潔なおむつ、おむつライナー、紙おむつなどを使うこと。(ハ)入浴の励行、特にお尻は念入りに洗うこと。かぜなどで入浴できないときでも、首、腋下と共に、お尻は必ずお湯で拭くこと。
Aについては、(イ)おむつカバーの選択。もれないことより、群れないことを主眼に。(ロ)おむつをかえるときや日光浴のとき、お尻を出したままで暫く露出したままにする。パウダーをふるのも、乾燥の目的が主で、さっと薄くふるのがコツで、白いよりめができるようではいけません。
Bには、柔らかいおむつ、お母さんの爪の手入れ、ソフトなタッチが大切です。
しかし、何といっても、大切なのは@で、赤ちゃんの排泄を早く見分けられるよう、意識的に努力することが大切です。月例が大きくなるにつれ、なるべくおむつを除いてやる時間を長くしましょう。
「おむつかぶれ」というのは、尿の中に含まれる尿素などの窒素化合物が、大便中のアンモニア産生菌で分解されてできたアンモニアが、皮膚の、殊に傷になった部分を刺激しておこるものです。
手当ては、予防のときの注意の上に、必要に応じて軟膏を塗ります。あまりひどくなければ、副腎皮質ホルモンの入ってない軟膏から始めてみましょう。余りひどくて、治り難いのは、いつまでも同じ軟膏でなくて種類を変えてみましょう。殊に、皮膚カンジダ症の1つの寄生性紅班ではないか、診察をうけましょう。
境界のはっきりした異常に赤い紅班で、端には膜のようにめくれた鱗屑があり、周囲に小膿泡を持った小紅班が衛星状にあれば、大変疑わしい症状です。これは副腎皮質ホルモン入りの軟膏だけでは治りませんし、かえって悪くなってしまうこともあります。カンジダに効く薬の入った軟膏を使えば、大抵2週間以内には治ります。