小児のインフルエンザ脳症について

9月頃から高知県内ではインフルエンザA型の患者さんが増えてきています。

インフルエンザは、高熱、関節痛、頭痛、咽頭痛、咳、鼻水など強い風邪症状を起こし、非常に感染力が強く、あっという間に感染が広がっていきます。インフルエンザの検査は発熱して12時間以上経過してからが望ましく、治療薬はタミフル内服、イナビル吸入などがあります。

脳に激しい炎症を起こすインフルエンザ脳症🤧

インフルエンザ脳症は、体に入ってきたウイルスを攻る免疫が過剰に働くことで、脳に激しい炎症などが起き、腫れが生じる病気です。

患者の多くは乳幼児で、発熱後、数時間から1日程度して発症することが一般的ですが、数日以上たってから発症することもあります。けいれんや意識障害、異常行動が主な症状です。

約2割の方は麻痺まひや知的障害、高次脳機能障害などの後遺症が残り、6%程度の人が亡くなってしまう恐ろしい病気です。

以下の症状は迷わず救急受診をしましょう🏥

けいれんが5分以上続く場合、けいれん後も意識が戻らない場合(救急車を呼んでください!)
大きな声で名前を呼んだり体を揺すっても、ようやく目を開ける程度(意識障害の可能性あり)
異常な行動や言動が1時間以上続く場合

予防としては手洗いやうがい、マスク、消毒など、新型コロナと同じ感染症対策が大切です。
その上で、インフルエンザのワクチン接種もご検討ください。(生後6か月から接種が可能) ワクチンは脳症の発症を完全に防ぐことはできませんが、インフルの発症や重症化のリスクを下げることで、脳症が起きるリスクを下げることができます。11~12月までに接種をお勧めします。

インフルエンザ脳症と解熱剤の関係💊

インフルエンザや水痘の際に「アスピリン(バファリン)」や「ジクロフェナク(ボルタレン)」「メフェナム酸(ポンタール)」といった解熱剤を使うと、ライ症候群やインフルエンザ脳症のリスクを高めることが知られています。

そのため小児(特に7歳未満)で、インフルエンザや水痘の疑いがある際には、解熱剤はアセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ坐剤、アルピニー坐剤)以外は使用しないよう注意して下さい。